「有事の金」はどこまで上がる？中東情勢緊迫化と金相場の行方

6月 23, 2025

現在、イラン、イスラエル、そしてアメリカの間で高まる軍事的な緊張は、世界経済、特に金相場に大きな影響を与えています。歴史的に「有事の金」と呼ばれるように、地政学リスクが高まる局面では、金は安全資産としてその価値を高める傾向にあります。

この緊迫した状況下で、金相場は今後どのように推移していくのでしょうか。

なぜ「有事の金」は買われるのか？

まず、「有事の金」が買われるメカニズムを理解することが重要です。

信用不安からの逃避: 戦争や紛争など、国際情勢が不安定になると、株式や債券といった「紙の資産」は、発行体の信用不安や企業の業績悪化によって価値が下落するリスクが高まります。一方、金は特定の国家や企業の信用に依存しない「現物資産」であり、普遍的な価値を持つとされています。そのため、投資家はリスクの高い資産から、安全性の高い金へと資金を移す傾向があります。
インフレヘッジ: 戦争が長期化すれば、サプライチェーンの混乱や政府による戦費調達のための通貨増発などにより、インフレ（物価上昇）が進行する懸念が高まります。
インフレ下では通貨の価値が目減りするため、実物資産である金は、インフレヘッジ（インフレによる資産価値の減少を防ぐこと）の手段として注目されます。
希少性: 金は地球上の埋蔵量が限られており、新たな採掘量も頭打ちの状態です。需要が増加する一方で供給が限られているため、その希少性が価値を支える要因となります。

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今回の紛争が金相場に与える影響

直近の急騰: イスラエルによるイラン核施設への攻撃、そしてそれに続くアメリカの介入という「有事」の勃発は、すでに金相場に明確な上昇圧力をもたらしています。
報道でも、スポット金価格が過去最高値を視野に入れていることが示唆されており、この初期反応は今後も継続する可能性が高いでしょう。
「有事の金買い」の持続: イランの報復が確実視され、紛争が地域全体に拡大するリスクがある限り、「有事の金買い」の動きは続くと思われます。
特に、ホルムズ海峡の封鎖や主要なエネルギー施設への攻撃といったシナリオが現実化すれば、世界経済への打撃は計り知れず、金への資金逃避はさらに加速するでしょう。
米ドルの動向との関連: 金は一般的に米ドル建てで取引されるため、米ドルの動向も金相場に影響を与えます。通常はドル高が金価格を下げる要因となりますが、今回のケースでは、米国の軍事介入自体がドルへの不信感につながる可能性もあり、その影響は複合的になるかもしれません。
ただし、世界的なリスクオフの局面では、相対的に安全通貨と見なされる米ドルが買われる動きも同時発生し、金とドルの両方が上昇する「共生」の局面も見られます。
中央銀行の動向: 近年、各国の主要中央銀行が外貨準備として金の購入を加速させています。これは、世界的な経済の不確実性や地政学リスクの高まりを警戒した「脱ドル」の動きとも関連しており、有事の際にはさらにその動きが強まる可能性があります。中央銀行の継続的な金買いは、金相場の下支え要因となります。

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短期的な見通しとしては、金相場は現在の高値圏での推移、あるいはさらなる上昇が続く可能性が高いと予測されます。イランの報復行動の有無、その規模、そしてアメリカのさらなる対応によって、金相場は大きく変動するでしょう。特に、紛争が予想以上に長期化したり、中東地域外への波及が見られたりするような場合には、かつてない水準への高騰も考えられます。

ただし、注意すべき点もあります。

突発的な事態の収束: もし予期せぬ外交努力によって事態が急激に沈静化するようなことがあれば、一時的に金相場が反落する可能性もゼロではありません。しかし、現状の当事国の姿勢を見る限り、この可能性は低いでしょう。
過熱感による調整: 短期的な急騰は、一時的な過熱感による調整（利益確定売りなど）を招くこともあります。

まとめ

現在の中東情勢は、金相場にとって明確な上昇要因となっています。「有事の金」としての役割は今後も強化され、その価値はさらに見直されるでしょう。投資を検討される方は、国際情勢の動向を注視し、リスク管理を徹底することが不可欠です。私たち一人ひとりも、この緊迫した状況が世界経済、そして私たちの生活に与える影響を理解し、冷静に対応していく必要があります。